Wi-Fi 7とは 次世代Wi-Fi 規格の詳細について
WiFiの進化は、いつまで経っても留まる気配がありません。WiFiも時代に合わせて高速化・低遅延化、大容量化のために絶えず進化する必要があるのです。こうした進化によってWiFi端末や新しいアプリケーションの急速な成長に対応することができるのです。
最新規格であるWiFi 6も登場から日は浅いですが、すでにWiFi 7の登場も視野に入っており、この記事ではWiFi 7の普及時期・特長・想定される用途等について解説をいたします。
Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)とは?
WiFi 7はWiFi の次世代規格の呼称でIEEE 802.11be Extremely High Throughput (EHT)とも呼ばれ、2.4GHz・5GHz・6GHzの全てのバンドが対象となります。この規格はWiFi 6をベースとしており320MHzの超広帯域・4096-QAM・Multi-RU・MLOが導入されました。
なぜWi-Fi 7が求められるのか?
WiFi 5→6では37%の高速化を実現しましたが、WiFi 4→5の10倍の高速化に比べるとその差は大きなものではありませんでした。この違いはWiFi 6が速度の向上よりも通信効率の向上を目指した設計意図に起因しており、混雑した環境下での快適性は大きく向上しましたが、個人が体感できるほどの魅力的な進化ではありませんでした。
昨今では最大20Gbpsの転送レートを伴う4K/8Kビデオ・VR/AR・リモートワーク・クラウドコンピューティング等のより高速かつ低遅延を求められるアプリケーションが登場し、WiFi 6では不十分となるケースも出てきました。これらに対応すべくIEEEは新たな規格としてIEEE 802.11be (WiFi 7)のリリースを予定しています。
Wi-Fi 7の特長について
11beプロジェクトでは更なる高速化・スペクトルの効率化・干渉緩和に加えて RTAのサポートを目的としており、目的達成のため様々な分野から約500件の提案を受け、物理層のスループット高速化・EDCA対応した802.1 TSN・OFDMAの強化・MLO・チャンネルサウンディングの最適化・物理層の技術的な進化・複数のAP同士の連携という7つの指針が決定し、さらに評価・検証を行った結果、これらの技術的な方針は物理層イノベーションとMACイノベーションに分類されました。
- 最大320MHzの柔軟な帯域幅
WiFi 6では帯域幅が80MHzから160MHzに倍増しましたが、WiFi 7ではWiFi 6から更に倍増した320MHzの帯域幅に対応します。
WiFi 7ではcontiguous 240MHz・noncontiguous 160+80MHz・contiguous 320MHz・noncontiguous 160+160MHzという複数のモードを採用し、より柔軟なチャンネルの割り当てが可能となり無線干渉を回避できるようになります。
- 16×16 MU-MIMO
WiFiに接続する端末の増加に伴い、WiFiのAP(アクセスポイント)側もアンテナ数を増やすことで空間多重化機能を向上してきました。
WiFi 6では8つの空間ストリームで同時に対応可能でしたが、WiFi 7では空間ストリーム数が16に倍増し、理論上の物理転送レートはWiFi 6と比較して倍増しました。
- 4K-QAM
WiFi 7はピークレートをさらに向上させるため、より高度な変調方式である4096-QAMを採用しています。これにより1シンボルあたり10bitから12bitになり、WiFi 6の1024-QAMと比較して理論上の伝送速度を20%向上させることができます。
伝送速度の高速化は伝送効率の向上にもつながり4096-QAM によって4K/8K動画の再生・オンラインゲーム・ライブストリーミングをよりスムーズに行うことができるようになります。
- Multi-RU & プリアンブルパンクチャリング
WiFi 6では、各ユーザーは割り当てられたリソースユニット(RU)でのみフレームを送受信可能なため、スペクトルリソースのスケジューリングの柔軟性が大幅に制限されます。この問題を解決し、スペクトル効率をさらに高めるために、WiFi 7では1ユーザーに複数のRUを割り当て、RU*を組み合わせて伝送効率を向上させることができます。
*組み合わせの複雑さとスペクトル効率のトレードオフを実現するため、小さいRU (242トーン未満)は小さいRUとしか組み合わせられず、大きいRU (242トーン以上)は大きいRUとしか組み合わせられません。小さいサイズのRUと大きいサイズのRUを混在させることはできません。
APが第2の80MHz帯でデータを送信していると仮定すると、もしチャンネル56がビジー状態であれば、その帯域を完全に使用することはできません。データはプライマリチャンネルを通してのみ送信されます。プリアンブルパンクチャリング技術により、干渉はブロックされ、他の3つの20MHzチャンネルは、チャンネル使用率を向上させるために使用することができます。
- MLO(Multi-Link Operation)
MLO(Multi-Link Operation) が有効になることで複数の異なるバンド・チャンネルと同時にデータの送受信が可能になります。スループットを向上させて遅延を減らし、VR/AR・オンラインゲーム・リモートオフィス・クラウドコンピューティング等の新しいアプリケーションの信頼性を向上させることができます。
従来のWiFiデバイスはSTAとAP間で1つのリンクのみでデータの送受信を行っていましたが、MLOの導入によってWiFi 7はSTAとAPの間に複数のリンクを確立し、トラフィックバランスと最適な経路選択を実現します。
Wi-Fi 7規格のリリースと、対応したルーターの販売開始時期について
2021年5月、IEEEはWiFi 7のドラフト1.0を公開し、2022年3月にドラフト2.0を公開予定です。これまでのWiFi規格と同様に、チップセットベンダーはドラフト版に基づいたチップを開発することでスムーズな導入を目指すことになります。現時点では、一部のベンダーがWiFi 7ソリューションの普及を始めており、WiFi 7製品は、2023年頃に市場に登場する可能性が高いとみられています。
Wi-Fi 7とWi-Fi 6の違いとは?
WiFi 6 |
WiFi 6E |
WiFi 7 |
|
リリース |
2019 |
2021 |
2024(予定) |
IEEE |
802.11ax |
802.11be |
|
理論値 |
9.6Gbps |
46Gbps |
|
バンド |
2.4GHz・5GHz |
6GHz |
2.4GHz・5GHz・6GHz |
チャンネル |
20, 40, 80 80+80, 160MHz |
最大320MHz |
|
変調方式 |
1024-QAM |
4096-QAM |
|
MIMO |
8×8 UL/DL MU-MIMO |
16×16 UL/DL MU-MIMO |
Wi-Fi 7の強み
最新技術を盛り込んだWiFi 7には以下の利点があります:
- 最大46Gbpsの高速通信
- 低遅延
- データ転送の効率化
- 容量の上昇による接続可能台数の増加
- 混雑した環境下での、より安定した動作
Wi-Fi 7の活躍が期待される用途
超高速・低遅延の安定した通信をもたらすWiFi 7は以下のようなアプリケーションへの利用が期待されます:
- 4K/8K動画 (最大20Gbpsのデータレートを含む)
- VR(virtual reality)・AR(augmented reality)・XR(extended reality)等の没入感が重要なアプリケーション
- リモートオフィス・リアルタイムの共同作業・オンラインビデオ会議
- クラウド/エッジコンピューティング
- クラウドゲーミング
- 産業用IoT
- メタバース
11年連続Wi-Fi機器のNo.1プロバイダー**であるTP-Linkは、常に新しい技術を取り入れ、今と未来の需要に応えるべく新製品を開発しています。
**2021年第4四半期IDC調べ
WiFi 7について
320MHz:Wi-Fi7が持つ超ワイドチャンネルの価値とは?